スタッフブログ

樹齢約千年の醍醐桜(真庭市)


新年度がスタートしました。

ちょうど桜も見頃、新入社員のように、またフレッシュな気持ちで頑張りたいと思います。


 


先日Aさんが来局されました。
いつもと違い、左顔面がやや腫れぼったく、少し発赤を伴っていました。

Aさんは顕微鏡的多発血管炎という指定難病でM病院に約1年前より入院されておりました。
顕微鏡的多発血管炎は名前の通り顕微鏡でないと観察できない小型血管(特に腎臓、肺、皮膚等)に炎症を起こす病気です。
これらの血管に炎症を起こすと、臓器の血流の悪化や出血が生じ臓器の機能が低下してしまい、腎臓であれば急速に腎不全へと進行し、高血圧、全身のむくみなどが出現し、場合によっては透析が必要になったりします。
原因は不明ですが、自己免疫異常が背景に存在すると考えられています。
本来バイ菌と戦うはずの免疫システムが自分の体を破壊してしまう疾患ですから、Aさんも腎機能低下がみられ、ステロイドと免疫抑制薬による治療が開始されました。
約40日間の入院治療の末、腎臓の数値も経過良好で、ステロイド漸減し、無事退院されました。

その時のM病院の処方内容は
 * プレドニン錠5mg     2.5錠 
    タケプロンOD錠15mg    1錠 
   イムラン錠50mg      1錠
    バクタ配合錠       1錠
   アルセチン錠10mg     1錠   1×朝食後

 *フォサマック錠35mg    1錠   毎週水曜日起床時     でした。

その後4週間毎の通院治療を続けられ、経過もよく、約1年後にはプレドニンが6mg/日まで減量できておりました。

ところが、免疫力低下のためAさんは頭部から顔面にかけて帯状疱疹が発症してしまい、通院中のM病院ではない近くのT皮膚科を受診されました。
その際、Aさんはお薬手帳も持参されておりましたが、プレドニンは適応症多く、前述の処方からだけでは腎機能低下があるかどうか判断し難いと思われます。
当然、抗ウイルス剤が投与されました。

その時のT皮膚科処方内容は
 * ファムビル250mg   4錠
    メチコバール250μg  4錠   2×朝、夕食後
 * ビタラビン軟膏 4g                でした。(T皮膚科で調剤済み)

抗ウイルス薬による治療のポイントは発症早期に十分量使用し、皮疹が痂疲化するまで投与することも大切なのですが、抗ウイルス剤として使用される薬剤のほとんどが腎臓から排出されるため、腎機能が低下している患者さん(高齢者)の場合排泄が遅延し高い血中濃度が持続するおそれがあるため投与間隔をあけて減量する必要があります。
ここが最大の注意点です。
AさんはT皮膚科処方の薬を5日間服用後、通院中のM病院を受診されました。
検査の結果、当然、Cr:1.86mg/dl GFR:20.67ml/min と腎機能悪化が見られました。
Aさんは80歳女性で体重約50㎏とするとCCr19ml/min で腎機能に応じたファムビル250mgの減量の目安としては1回250mgを1日1回投与が適量となりますので副作用が出現してしまいました。
M病院よりファムビル250mg/回/日にて指示変更され経過観察となりました。

2週間後、M病院を再受診され、Cr:1.47mg/dl GFR:26.74ml/min と腎機能改善傾向となり、現在もプレドニンは5mg/日で継続服用中です。

帯状疱疹の治療に使われる薬剤は腎機能に応じて量の調節が必要になるので要注意です。

最近処方箋に検査値表示を開始する病院が増えてきています。
検査値のチェックは、副作用の早期発見や腎機能に応じた投与量の適正化など、処方内容が個々の患者さんにとって適切かどうかを薬剤師が判断する上で大変重要だと思われます。 
                                  
                                           高瀬店 F


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